緑影騎士−聖騎士の帰還−
−後 書−
この「緑影騎士〜聖騎士の帰還」は1991年、学生だった頃に20分くらいで書き上げたシナリオを、後に大幅に修正したものがこの小説になります。
この物語は勧善懲悪っぽいのですが、だからといって反乱軍(=いわゆる善)が清廉潔癖な存在という訳ではないし、女王軍(=いわゆる悪)にだってそれなりの理由があって、真っ白な善もなければ真っ黒な悪もないのではないか?という勧善懲悪否定物語でした。子供の頃からヒーローものとかが好きで、もちろん勧善懲悪も好きだけれど、でも悪役にも言いたいこととか理由とかあるんじゃないか?と思ったりもしていたのです。それを全面に押し出したのがこの緑影騎士でした。
最初に考えたのが本当に適当なシナリオだったので、「このシーンであのキャラは何を考えていたのか?」「こういう行動に出たのはどういう理由からだったのか?」などと、後からキャラの心情を推理したりしていました。そうしている内に自分でも想像していなかったキャラに育ち、今こうして緑影騎士を世に送り出すことができました。
親の仇討ちのために祖国に帰ってきたリグルは、もっと熱い人だと思っていたのに、自分の感情を後回しにして周囲を気遣うような人でした。ディーンはもっと強くて毅然としていて、孤高の人だと思っていたのに、責任感と人間らしい弱さを持った人でした。エリスはもっとはかなくて消極的で、ずっと待ち続けるタイプの人だと思っていたのに、芯が強くてしっかりした人でした。
本当に、彼らのことを語りだしたら止まりません。大好きです。愛しています。
もしも誰かひとりにでも愛を感じていただけたのなら幸いです。
そして、「あきらめない夢は終わらない」とこの身で証明できたことを誇りに思います。
貴方の心に、何かひとつでも残るものがどうかありますように。
長い物語を、最後まで読んで下さってありがとうございました。
2001.12.07
2006.09.08改